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検討パターン①課税売上が発生しない場合
まずはこれです。私がまさにこのパターンに当てはまる可能性があります。
2018年に設備を購入し、系統連系(=売電収入発生)が2019年になる場合などのケースが考えられます。
計算条件は以下とします。
太陽光発電設備を500万円で購入し、今年の売電額は0円(いずれも税抜き)
個別対応方式で計算すると?
こちらは前の計算と変わりません。
課税仕入控除税額=イ+(ハ×課税売上割合)
課税売上割合は売電収入が発生していないので0%ですが、『ハ 課税売上げと非課税売上げに共通して要する課税仕入れ等に係るもの』も0円だから関係ないのです。
課税仕入控除税額=イ=40万円
消費税還付額は40万円-0円=40万円
売電収入が発生していない=課税売上に係る消費税額(売り上げ時に預かった消費税)が0円となり、課税仕入れ控除税額がそのまま還付されますね。
一括比例配分方式で計算すると?
こちらが問題です。なぜなら課税売上が0円のため、課税売上割合が0%になってしまうからです。
課税仕入控除税額 = 課税仕入れ等に係る消費税額 × 課税売上割合
=40万円×0%=0円
消費税還付額は0円です。
個別対応方式との差、40万円!要注意ですね。
検討パターン②既に家賃収入がある場合
先にも述べましたが、家賃収入は非課税売り上げになります。既に家賃収入があるなんて、羨ましい属性ですが、この方も要注意です。
条件は
太陽光発電設備を500万円で購入し、今年の売電額は75万円
今年の不動産収入(家賃収入)が50万円(いずれも税抜き)
としましょうか。
課税売上割合は75万円/(75万円+50万円)=0.6
60%となります。
個別対応方式で計算すると?
課税仕入控除税額=イ+(ハ×課税売上割合)
ハは0円ですので今回も計算は変わらず
課税仕入控除税額=イ=40万円
消費税還付額=40万円-6万円=34万円
となります。
一応補足しておきます。
消費税還付額=(1)課税仕入控除税額-(2)課税売上に係る消費税額
となりますが、家賃収入は非課税売り上げとなりますので、(2)は売電収入に係る消費税の6万円のみとなります。
一括比例配分方式で計算すると?
課税仕入控除税額 = 課税仕入れ等に係る消費税額 × 課税売上割合
=40万円×60%=24万円
消費税還付額=24万円-6万円=18万円
個別対応方式との差14万円。要注意!
まとめ
通常のパターン
条件:太陽光発電設備を500万円で購入し、今年の売電額は75万円
個別対応方式:還付額34万円
一括比例配分方式:還付額34万円
検討パターン① 課税売上が発生しない場合
条件:太陽光発電設備を500万円で購入し、今年の売電額は0円
個別対応方式:還付額40万円
一括比例配分方式:還付額0円
検討パターン② 既に家賃収入がある場合
条件:太陽光発電設備を500万円で購入し、今年の売電額75万円、家賃収入50万円
個別対応方式:34万円
一括比例配分方式:18万円
つまり
・ほとんどの人は『個別対応方式』で計算しても『一括比例配分方式』で計算してもOK
・太陽光の取得年と連携年が異なる人(=年内に売電収入が発生しない人)は個別対応方式で計算すること。
・既に家賃収入を得ている人は個別対応方式で計算すること
要するに、個別対応方式で計算しておけばOK!
おまけ
一括比例配分方式で計算したほうが有利になる場合もあります。
あまり当てはまる人はいないと思いますけど。。。
条件はコチラ。
太陽光発電設備を500万円で購入し、今年の売電額は75万円
今年の不動産収入(家賃収入)が5万円(いずれも税抜き)
今年不動産のリフォームを300万円で実施
結構無理やりな条件ですね。ずっと空き室だったのでリフォームしたら年末に入居者が決まりました!みたいな想定ですかね。
個別対応方式で計算すると?
こちらは今までと同じ。
課税仕入控除税額=イ=40万円
消費税還付額=40万円-6万円=34万円
一括比例配分方式で計算すると?
課税売上割合=75/(75+5)=93.75%
課税仕入控除税額 = 課税仕入れ等に係る消費税額 × 課税売上割合
=(40万円+24万円)×93.75%=60万円
※太陽光購入の消費税+リフォーム費用の消費税
消費税還付額=60万円-6万円=54万円
このケースでは一括比例配分方式で計算したほうが20万円も還付額が多いです。
まぁ、特殊なケースでしょうか。
注意点として、課税売上割合が3年間で大きく変動している場合は、還付された消費税を返納しなくてはいけないケースがあります。意図的に初年度だけ課税売上割合を高くして消費税還付を受けることを防ぐためですね。この点については、『不動産 消費税還付』と調べればわんさかと記事が出てきますので、そちらをご確認ください。
以上、気になる方は国税庁の 確定申告書等作成コーナーで実際に入力してみるのが確実です。
私もよくわからないときは実際に入力してみたり、税務署に電話したりします。
では、ごきげんよう。
※ちゃんと調べて書いているつもりですが、間違っていたらご指摘ください。