ふるさと納税とその他寄附をした場合の控除額計算について

こんにちは。私大職員です。

私もふるさと納税と国境なき医師団への寄附をしています。

みなさん、ふるさと納税以外の寄附もしている場合、ふるさと納税に対して、どのような影響がでるかご存知ですか。

私は国境なき医師団への寄附は毎年5,000円だけでしたので、今までまともに考えていなかったのですが、暇なので調べてみました。

以降、その他の寄附=ふるさと納税以外の寄附 を単純に『寄附』と記載します。理由は、面倒だからです。

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結論から申し上げると

ほとんどの人は、影響ありません。

NPOなどに寄附をいくらしても、ふるさと納税に影響はありません。上限額も変わりません。
※この記事で言うふるさと納税の上限額とは自己負担2,000円で済む範囲の寄附額を指します

もう少し細かくいうと、寄附をした際、(1)所得控除か(2)税額控除のうち有利な方法を適用するんですけど、

(2)税額控除の方が有利になる方は、ふるさと納税への影響は全くありません。

(1)所得控除の方が有利になる方は、ふるさと納税に影響がでる可能性がちょっとだけあります。というか、寄附とふるさと納税を合わせて考える必要が出ます。

寄附金控除とは

国境なき医師団に寄附した際の寄付金控除について

に細かい話は書いてあります。ここでは具体的な例でご紹介します。

年収550万円のケースも年収1,500万円のケースも税額控除の際は所得税からの控除のみとしています。

自治体が指定している団体に寄附した際は住民税からも税額控除できるケースがありますが、今回は無視しています。

年収550万円の会社員

これは2015年の私です。

年収:5,500,000
給与所得控除後:3,860,000
所得控除額:1,380,000
課税所得:2,480,000
所得税率:10%
所得税額:150,500

ざっくりこんな感じです。

寄附額は10,000円としましょう。

所得控除と税額控除どちらが有利になるか計算します。

(1)所得控除の場合

所得控除額=寄附額-2,000=8,000円です。

所得税率が10%ですので、節税額は

8,000×〔10%(所得税率)+10%(住民税率)〕=1,600円

となります。

(2)税額控除の場合

税額控除額=(寄附額-2,000)×40%=3,200円

税額控除ですので節税額はそのまま3,200円です。

つまり、2015年の私は税額控除が適用されるわけです。

年収1,500万円の会社員

この場合はどうでしょうか。

年収:15,000,000
給与所得控除後:12,800,000
所得控除額:1,380,000
課税所得:11,420,000
所得税率:33%
所得税額:2,232,600

うらやましいですね。でも、所得税200万円超は辛いですね。。。

寄附額は同じく10,000円としましょう。

では、所得控除と税額控除どちらが有利になるか計算します。

(1)所得控除の場合

所得控除額=寄附額-2,000=8,000円です。

所得税率が33%ですので、節税額は

8,000×〔33%(所得税率)+10%(住民税率)〕=3,440円

となります。

(2)税額控除の場合

これは年収500万円の会社員と同じです。

つまり、3,200円です。

今回は(1)所得控除のほうが有利になりました。この場合、所得控除が適用されるわけです。

要するに、所得税率が33%を超えると、住民税率と合計して43%になり、税額控除の40%以上になるため、所得控除が有利になるわけです。

あまりこれに該当する人はいないんじゃないでしょうか。

というか、そんなに高年収なら、そんな細かいことは気にしないだろ、、、と思います。

寄附が税額控除になる人のケース

多くの一般サラリーマンが寄附をした際は税額控除になることはお分かりいただけたと思います。

この場合は、ふるさと納税の上限額は寄附をいくらしたからと言って、変更になりません。

そもそも仕組みが違うからです。

と、言っても、心配だと思いますので、実際に確定申告の画面を見ていただきましょう。

年収500万円の会社員を例にしましょう。

寄附額を決めます

寄附額は1万円だと今一ですよね。もっと高額になったらどうなるんだと突っ込まれそうです。

では、税額控除が適用できる上限にしましょう。

税額控除額は所得税額の25%が上限になります。

ただし、ふるさと納税も合わせて実施している場合、寄附額から2,000円を差し引く必要はありません。
細かい説明は国境なき医師団に寄附した際の寄付金控除についてをご参照ください。

(寄附額)×40%<150,500×25%

より、寄附額の上限は94,062円です。

切り良く、90,000円としましょうか。

ふるさと納税額を決めます

これも上限にしましょう。

ふるさとチョイスのシミュレーションを活用します。

医療費控除ほか、さまざまな控除額を含めて上限額を計算できる詳細シミュレーション

上限額は64,789円です。

こちらも切り良く、60,000円にしましょうか。

模擬確定申告してみる

まずは給与所得の入力です。

こんな感じですね。

次に寄附金控除を入力していきます。

まずは、ふるさと納税のみ実施したケースを見ましょう。

ふるさと納税額は60,000円ですので、自己負担額2,000円を除いた58,000円が控除されてるはずです。

はい。問題ありませんね。58,000円の所得控除です。

では次に、これに90,000円の寄附を追加してみましょう。

この場合、90,000円の40%が税額控除されるはずです。そして、ふるさと納税の所得控除58,000円には変更がないはずです。

はい、問題ありません。

寄附をしても、税額控除が適用される人はふるさと納税にはなにも影響がないことがわかりました。

寄附が所得控除になる人のケース

こちらは対象となる人が少ないのでぱぱっと行きましょう。

まず、ふるさと納税についておさらいです。

詳しくはふるさと納税の上限寄付額を手計算する方法をご参照いただきたいのですが、

ふるさと納税の控除は以下3つの控除の合計額です。
※Aはふるさと納税額を指します

①所得税からの控除x=(A-2,000)×所得税率(人により異なる)
②住民税からの控除(基本分)y=(A-2,000)×住民税率(10%)
③住民税からの控除(特例分)z=(A-2,000)×(100%-住民税率(10%)ー所得税率)

①~③にはそれぞれ上限額が定められています。

①所得税からの控除:Aは総所得金額の40%が上限
②住民税からの控除(基本分):Aは総所得金額の30%が上限
③住民税からの控除(特例分):zは住民税所得割額の20%が上限

この①と②は寄附による所得控除と同じ枠組みになります。

税額控除の際は寄附の上限(税額控除の上限)とふるさと納税の上限を個別に考慮すればOKでした。

所得控除の場合は、ふるさと納税と寄附を合算して①と②が上限に達しないよう、考慮する必要があるということです。

まぁでもふるさと納税上限額はほぼ③で決定しますから、あんまり気にしないでもよさそうですね。

NPOなどにものすごい額を寄附しない限り、①、②が上限に達することないでしょう。

いずれにしても、私には関係がなさそうです。

まとめ

・寄附金控除は「所得控除」と「税額控除」の有利な方を選択できる
・たいていの人は「税額控除」の方が有利
・税額控除の上限は所得税額の25%まで
・税額控除適用の人は寄附をしても、ふるさと納税に影響を与えない
・所得控除適用の人は寄附とふるさと納税を合算して、所得税控除並びに住民税控除を考慮する必要あり

以上、どこか間違っているところがあったら、ご指摘ください。

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