一時所得がある場合のふるさと納税上限額の計算方法について

こんばんは。私大職員おにへいです。

私の父が以前勤めていた会社の厚生年金基金が解散し、分配金が出たようです。

分配金は一時所得になりますが、その際、ふるさと納税の上限額はどうなるのでしょうか。

父のために、調べてみました。

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まずは住民税の所得割額を計算する

私がよく利用するふるさとチョイスのHPでは上限額を計算してくれるページがあります。

控除金額シミュレーション

しかし、このページには給与所得を入力する欄はありますが、一時所得を入力する欄がありません。

ふるさと納税は今回の一時所得もそうですが、事業所得や不動産所得がある場合、その分の所得も合算してあげないと上限額は正確には計算できません。

と、いうことで

自分で計算しましょう!

詳しい説明はふるさと納税の上限寄付額を手計算する方法を参照いただきたいのですが、要するに住民税所得割額からふるさと納税の上限額は簡単に計算できます。

住民税所得割額を計算するには以下のサイトがとても便利です。

住民税の自動計算サイト

以下の条件で計算してみます。

居住地:東京都
給与:700万円
一時所得:180万円
社会保険料控除:70万円
※それ以外は0円/扶養なども0人

住民税額は
都民税:189,300円
区民税:285,200円
合計:474,500円

所得割額は住民税額-均等割額なので
都民税所得割額:189,300-1,500=187,800円
区民税所得割額:285,200-3,500=281,700円
合計:469,500円

住民税の所得割額は469,500円と算出できました。

便利ですね、このサイト。重宝します。

住民税の所得割額からふるさと納税上限額を計算する

ふるさと納税の上限額は以下の計算式で算出できます。

所得割額×20%
=(ふるさと納税上限額-2,000)×(1-所得税率-住民税率)

今回のケースの場合
所得割額=469,500円
所得税率=20.42%(復興特別税含む)

ですから、ふるさと納税上限額=Aとすると

469,500×0.2=(A-2,000)×(1-0.2042-0.1)
93,900=(A-2,000)×0.6958
A-2,000=93,900÷0.6958
A-2,000=134,952
A=134,952+2,000=136,952円

一時所得180万円が入った、給与所得700万円のサラリーマンのふるさと納税上限額は136,952円になります。

一時所得が与える影響は?

一時所得180万円がない場合の住民税所得割額とふるさと納税上限額は以下の通り。
※()内は一時所得有りの場合との比較

住民税所得割額:404,500円(Δ65,000)
ふるさと納税上限額:118,269円(Δ18,683)

一時所得分を考慮することでふるさと納税の上限額が約18,000円増えます。

正しく計算しましょう。もったいないです。

もっと簡単に計算するには?

計算方法を紹介させていただきましたが、少し面倒ですか?

そんな方のために簡単な計算式をご紹介させていただきます。

計算の過程などどうでもいい人は

実際に計算してみる
まで読み飛ばしていただいて結構です

計算の過程

一時所得をQ円とします。

一時所得は所得から50万円を控除した後、50%分を給与収入などと合算して課税されます。

国税庁HPより No.1490 一時所得

つまり一時所得Q円を受け取ることで課税所得は

(Q-500,000)×0.5

だけ増加することになります。

住民税は課税所得の10%ですから

(Q-500,000)×0.5×0.1

だけ所得割額が増加します。

一方ふるさと納税の上限額は

所得割額×20%
=(ふるさと納税上限額-2,000)×(1-所得税率-住民税率)

で計算できます。

所得割額:X
ふるさと納税上限額:Y
所得税率:Z
住民税率:0.1

とすると

X×0.2=(Y-2,000)×(1-Z-0.1)
整理すると
Y=[0.2X/(0.9-Z)]+2,000

となります。

所得割額の増分:ΔX
ふるさと納税上限額の増分:ΔY

とすると

ΔY=0.2ΔX/(0.9-Z)

所得割額の増分ΔXは先ほど計算した通り

ΔX=(Q-500,000)×0.5×0.1ですので

ΔY=(Q-500,000)×0.01/(0.9-Z)

で計算できます。

実際に計算してみる

ΔY=(Q-500,000)×0.01/(0.9-Z)

一時所得:Q
ふるさと納税上限額の増加分:ΔY
所得税率:Z

この式に単純に当てはめていけばOKです。

先ほど一時所得がない場合、年収700万円の会社員はふるさと納税の上限額が118,269円でした。

一時所得180万円が入った場合の増加分は
Q=180万円
Z=0.2042(20.42%)
ですので

ΔY=(1,800,000-500,000)×0.01/(0.9-0.2042)
=13,000/0.6958=18,683円

一時所得180万円によるふるさと納税の上限額の増加分は18,683円になります。

先ほどの計算結果と一致しますよね。

ΔY=(Q-500,000)×0.01/(0.9-Z)

一時所得:Q
ふるさと納税上限額の増加分:ΔY
所得税率:Z

この計算式に代入するだけですので、結構簡単だと思いますが、どうでしょうか。

以上、ごきげんよう。

コメント

  1. 一応、ふるさと納税の返礼品を受け取る場合は、その時価が一時所得に上乗せされる可能性があることも触れておいた方が良いかと。

    国税庁
    https://www.nta.go.jp/law/shitsugi/shotoku/02/37.htm

  2. 私大職員おにへい より:

    かいけいセブン様
    コメントありがとうございます。
    おっしゃる通り、ふるさと納税の返礼品は一時所得に上乗せされるようですね。
    一時所得は50万円の控除がありますが、今回の例のように別途一時所得がある場合は50万円を超過することもあり得ますので、ふるさと納税の返礼品分も正しく反映しておくべきですかね。
    ご指摘、ありがとうございます。