私は2017年1月に学生時代に猶予されていた国民年金の追納を行いました。
今回は国民年金の追納とはなにか、それによってどんな効果があるのか、などについてお話ししたいと思います。
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国民年金の追納とは
20歳になったら、皆さん年金を支払いますよね。
将来的には会社勤めになり、厚生年金に切り替わったり、私大職員になり、私学共済年金に切り替わったりするのでしょうが、20歳当時学生だった方々は国民年金に加入することになります。
学生時代に国民年金保険料を払いましたか?
私は払っていません。
なぜなら、学生納付特例制度により納付を猶予されたからです。
この制度を利用するためには、申請が必要です、申請していない場合、未納になりますので、ご注意ください。
ここで、大事なのは免除ではなく、猶予であることです。
つまり、年金保険料を全額納付した場合と比べると、将来もらえる年金額が減額になっているんですね。
じゃあ、納付特例制度を活用して、保険料支払いを猶予される意味はあるのか、という話になりますが、あるんです。
1点目は障害基礎年金の受給資格についてです。
未納状態ですと、障害基礎年金を受け取る資格がありません。
猶予状態ですと、受け取れます。
学生のときに病気や怪我をし、障害状態になった場合、この差は非常に大きいですよね。
2点目は年金の受給資格期間についてです。
年金を受け取るためには保険料の支払期間が25年以上必要です。
(平成29年8月1日からは10年以上に短縮予定)
納付特例期間中は、保険料を支払っていなくても、受給資格期間に反映されます。
学生中、2年分を納付特例を受けていたとします。
社会人になって、8年間年金保険料を支払った後、なんらかの理由で保険料納付ができなくなった場合、10年の支払期間とみなされ、年金の受給資格がもらえるということですね。
お得です。
以上の理由から、納付特例制度はぜひ活用すべきなのですが、あくまで受給額について考えると、満額納付した人と比べると減額されている、ということです。
そこで、猶予されてから10年以内であれば、後から納付できる、というのが国民年金の追納です。
追納により受給額はどれだけ増える??
国民年金の額は物価変動などを考慮し、毎年改定されています。
厚生労働省の発表によると、平成29年度国民年金の満額は月64,941円となっています。
ということは年 779,292円ですね。
満額を受け取るためには40年間=480ヵ月の保険料支払いが必要になります。
30年間しか支払いをしていない場合は年金は満額の3/4しかもらえません。
計算式で示すと以下の通りです。
国民年金額=国民年金満額*(支払月/480ヵ月)
これに学生納付特例期間を当てはめてみましょう。
あなたが大学2年生の8月に20歳になったとします。
その月から国民年金の支払い義務は発生しますが、大学4年の3月まで納付特例を受けたとします。
猶予期間は32ヵ月間です。
では国民年金額はいくらになるでしょうか。早速計算してみましょう。
国民年金額=国民年金満額*(支払月/480ヵ月)
=779,292*(448/480)=年 727,339円
となります。
満額時と比較して、779,292-727,339=年 51,953円少なくなっています。
これはいいかえれば、国民年金を追納することで、将来の年金額が年 51,953円多くなる、ということです。
では、追納する国民年金保険料はいくらになるのでしょうか。
この例ですと大学2年生時の8月~大学4年生時の3月は平成20年度8月~平成22年度3月に該当します。
当時の国民年金保険料は日本年金機構のHPで公開されています。
平成20年度は14,410円/月
平成21年度は14,660円/月
平成22年度は15,100円/月
でした。
また、猶予から年数が大分経っていますので、当時の保険料額に経過期間に応じた加算がされています(利子みたいなものです)。
加算を反映した保険料は
平成20年度は15,160円/月 (+750円)
平成21年度は15,250円/月 (+590円)
平成22年度は15,510円/月 (+410円)
になります。こちらも日本年金機構のHPで公開されています。
以上より、国民年金を満額追納する場合
平成20年度分:15,160*8ヵ月=121,280円
平成21年度分:15,250*12ヵ月=183,000円
平成22年度分:15,510*12ヵ月=186,120円
合計:490,400円
の納付になります。
まとめると、
国民年金を490,400円追納することで、将来の国民年金額が、年 51,953円増加する
ということですね。
皆さんはこれをどうとらえますか。
単純に計算すると年金支給開始から9.5年生きれば元は取れますね。。。
ただし、年末調整で、追納分は全額所得控除できます。
これも考慮に入れる必要があります。
長くなってしまったので、その2に続きます。