空家を賃貸に出す相談を受けて(その2)

※税務署・役所に確認し、2017年6月1日に記事を一部更新しました。更新部は青字で表記しています。

詳しくは空家を賃貸に出す相談を受けて(その3)をご確認ください。

前回の記事空家を賃貸に出す相談を受けて(その1)の続きになります。

前回は(1)総収入金額、(2)損害保険料について、確認しました。

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それぞれの項目について(続き)

(3)固定資産税について

平成29年度の固定資産税は

土地;19,000円
建物;32,000円
合計51,000円です。

固定資産税って年度で考えますよね。

第1期~第4期分を分割で支払えるのですが、第4期分納付期限は平成30年になります。

では、固定資産税は第1期~第4期分を経費計上できるのでしょうか。

それとも平成29年分のみに該当する第1期~第3期分のみなのでしょうか。

国税庁によると

4 必要経費算入時期

その年分の各種所得の金額の計算上必要経費に算入する租税は、原則として、その年12月31日(年の中途で死亡又は出国をした場合には、その死亡又は出国のとき)までに申告や賦課決定等により納付すべきことが具体的に確定したものとされています。
ただし、固定資産税、不動産取得税、自動車税などの賦課課税方式による租税のうち納期が分割して定められているものについては、各納期の税額をそれぞれの納期の開始の日の属する年分又は実際に納付した日の属する年分の必要経費とすることもできます。例えば、固定資産税の第4期分の税額は、原則として賦課決定を受けた年分の必要経費になりますが、その翌年2月が納期となっていますので、納期の開始の日である翌年分の必要経費とすることもできますし、又は実際に納付したその後の年分の必要経費とすることもできます。

国税庁HPより引用

とのことです。

つまり、固定資産税は第1期~第4期分を算入しても、第1期~第3期分を算入しても良いということです。

ここでまた疑問が出てしまいました・・・

固定資産税額は平成29年4月に通知されています。

この段階ではこの賃貸物件は空き家です。貸出する意志はあったようですが、借り手が見つかっていなかったわけです。

固定資産税は全額経費として扱えるんでしょうか。

それとも5か月分の按分になるのでしょうか。

それともそもそも計上できないのでしょうか。

これ、調べてもよくわかりません。

(現にか動していない資産)

2-16 不動産所得、事業所得、山林所得又は雑所得を生ずべき業務の用に供される令第6条《減価償却資産の範囲》に規定する資産は、現にか動していない場合であっても、これらの業務の用に供するために維持補修が行われており、いつでもか動し得る状態にあるときは、減価償却資産に該当する。

国税庁HPより引用

減価償却資産の場合は貸出をしていなくても、維持補修が行われており、いつでも可動し得る場合は減価償却資産とみなす、つまり貸し出しをしていなくても、その間の固定資産税は経費として扱うことができると解釈してよさそうです。

ただし、この建物は今まで家屋として課税をされています。

減価償却資産として課税をされていたわけではありません。
(減価償却資産とは事業などの業務(不動産所得を得るための物件も含まれる)のために用いられるものです)

1月1日時点に家屋として課税されていた資産を期中に貸出す場合の固定資産税の扱いは

税務署に確認する必要がありそうです。

というか誰か教えてください。

⇒税務署に確認した結果、固定資産税は51,000円全額を経費として扱える、とのことでした。

(4)減価償却費について

自分で住む不動産は家屋(非業務資産)として課税されます。

貸出をして、家賃をとる不動産は償却資産(業務資産)として課税されます。

自宅を貸出する場合は非業務資産を業務資産として転用する、ということになります。

この場合、転用した時点で償却資産の価値がどれだけ減価(目減り)しているかをまず計算します。

今回の例

建物の取得価格;11,000,000円
建物の取得年月日;1972年8月
建物の構造;木造(新築)
建物の耐用年数;22年
償却率;0.046

の条件で検討します。

取得年月日が平成19年3月以前なので、旧定額法で減価償却します。

木造の耐用年数は22年ですので、償却率は0.046です。(こう決まっています。)

減価償却費は取得価格*0.9*償却率ですから

11,000,000*0.9*0.046=455,400円ずつ本来は減価償却していきます。

ただし、家屋として使用していた期間は計算が異なります。

非業務用の減価償却資産を業務の用に供した場合の、その業務の用に供した後におけるその資産の償却費の額は、その資産の取得価額に、その資産の耐用年数に1.5を乗じて計算した年数により旧定額法の方法で計算

国税庁HPより引用

耐用年数を1.5倍するんです。

ということは22*1.5=33年が耐用年数になります。

耐用年数33年の場合、償却率は0.031となります。

減価償却費は

11,000,000*0.9*0.031=306,900円です。

家屋の場合は償却資産の場合と比べて減価償却の額がずいぶん小さいです。

これは家屋として使用している場合は価値が目減りしにくい、ということだと思います。

自宅のほうが大事に使うでしょうし、なんとなくイメージはできます。

例えば、新築から10年自宅として住んだ後、貸出をする場合

取得価格から10年分の減価償却費を差し引いた

11,000,000-(306,900*10)=7,931,000円が貸出時における評価額です。

今後は償却資産として減価償却していきますので、毎年455,400円ずつ減価償却していきますので、毎年その分を経費として扱うことができるわけです。

さて、今回のケースの場合、貸出時における評価額はいくらになるでしょうか。

答えは1円です。

自宅として使用している間(私の計算では40年)に10,999,999円を償却してしまっています。今回のケースでは45年経っていますからね。

減価償却しきっているため、経費として計上することはできません。
できない、というよりするものがそもそもない、ということですかね。

よって、減価償却費は0円です。

でも、評価額が1円ということは固定資産税もかからないということですかね???

家屋の場合は減価償却せず、物価変動と経年による補正(経年減価補正率)によって評価額を決定しますが、経年減価補正率の下限が約20%ですので、何十年たっても家屋の評価額は一定程度残ります。なので、今回のケースの場合も築45年の建物に関わらず32,000円も課税されているんです。

空家を貸し出す(家屋から償却資産に変更)ことで家賃ももらえて、固定資産税も安くなるならいいことづくしですね(←これ本当でしょうか・・・)

⇒役所に確認した結果、固定資産税は空き家を貸出ししても、引き続き家屋として課税するため、固定資産税は変わらない、とのことでした。残念です。

まとめ

まとめます。

総収入金額:8月に受け取る一年分家賃250,000円
必要経費:損害保険料1年分22,000円
※固定資産税は要確認、減価償却費は0円

固定資産税が仮にすべて経費に算入できないとすると

不動産所得=250,000-22,000=228,000円-(A)です。

固定資産税が仮にすべて経費に算入できるとすると

不動産所得=250,000-22,000-51,000=177,000円-(B)です。

(A)の場合、不動産所得>200,000円より確定申告が必要です。

(B)の場合、不動産所得<200,000円より確定申告が不要です。

以上より、相談者には

「正直よくわからないので、家賃を200,000円以下にするのが確実だと思います。ていうかタダで貸したら?」

とアドバイスしておきました。

苦笑いされましたけど。

⇒税務署・役所に確認した結果(B)が正解のようです。よって、確定申告は不要です。

疑問点のまとめ

(1)自宅や空家を期中に貸出た場合、固定資産税は経費として扱えるか。経費とした場合全額か、貸出期間を按分した額か。

⇒全額を経費として扱える。

(2)今回のケースのように非常に古い建物を貸し出す場合、家屋から償却資産に変更することで固定資産税が節税できるという解釈でよろしいか。

⇒引き続き家屋として課税されるため、固定資産税は変わらない。

このあたりは調べてもわかりませんでした。今度平日休む機会があったら、税務署に電話してみようかと思います。

税務署に電話なんてしたことありませんけど。

以上、最後までお付き合いいただき、ありがとうございました。